田中千代・風俗人形・コレクション





 旅に出て、ふと目にとまって買って帰り、棚に並べて見る人形それは多くは地方色の豊かな風俗人形である。とりわけ海外の旅て、風俗人形を見つけると、それは貴重な発見だという気になる。それはいちばんいい記念品だと思う。私たちも最初のヨーロッパの旅で (1928-1932年)、しきりに風俗人形をあつめた。そうしているうちに、まもなく、風俗人形はその地方独特の風俗を精巧に写したものほど値うちがあるように思われ、結局いちばん写実的なものを買うこととなった。それはたいていの場合、そこで売っている人形の中でいちばん高い人形であった。それでも本物の衣装を手に入れるのとは比べものにならないほど安いものであった風俗人形は土産物の中ではかなり重要なものであるが、それでも本物にはおよびもつかないオモチャであるということにやがて気が付いた時には、私たちのコレクションはちょっとしたものになっていた。
   
    (田中薫、田中千代共著「世界のきもの」より)




 このコレクションは2000年に、民俗衣装と共に国立民族学博物館に寄贈された。


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