田中千代・民俗衣装・コレクション

パキスタン (Pakistan)



シャルワ (shalwar)

(1960年収集)

[衣装の構成]
上衣
 (クルタ kurta 又はぺパンpephanと呼ばれる)

ズボン
 (シャルワ shalwar)
スカーフ
 (オドーニ odhni 又はドゥバタと呼ばれる。)


 このズボンはパキスタンのパンジャブ地方(Panjabi) に見られる奇妙なパジャマ・ズボンの一種でシャルワと呼ばれる。これはクルタ又はペパンと呼ばれるチュニック型の上衣と組んで着られる。薄緑色の絹サテンで作られ、胴囲384cmもあるゆったりしたズボンで、足首で細くなっているが、布地が肌に触れにくいので涼しいという。このシャルワは典型的な下重型衣服である。クルタの上にオドーニ、又はドゥバタと呼ぶスカーフをかけて優雅である。
 ズボンと共布のクルタは脇に深いスリットが入っており、胴部はダーツで細められている。
 クルタの衿刳りまわりと、裾、袖口カフス、シャルワの裾口に鏡入りの刺繍が施されている。




パキスタン (Pakistan)
カラチ (Karachi)



(1960年収集)

[衣服名 ブルクワ burqua]



 これはパキスタンのカラチ周辺で普通に着られるブルクワと呼ばれる服で、回教国であるこの国の女性は、掟に従って外出時にこれを着るわけである。白木綿のマントで、頭部に刺繍があり、眼の部分はネット状にすかして外が見えるようになっている。
 この国でも、今では(1960年) これを被らないで歩くものが少しずつ増えているようである。また、ブルクワは小型のベールに変っていく傾向も見られる。




パキスタン (Pakistan)
カラチ (Karachi)


ベールで顔を覆った状態

(1960年収集)

[衣服名 モダン・ブルクワ]



 カラチ付近で見かけるブルクワは、白木綿の従来型のブルクワと、このような黒の人絹の軽いブルクワの二種である。近年(1960年頃)ここにも服装の近代化が漸進的ながら進行中であって、モダン・ブルクワと呼ばれるこのような新しいデザインが愛用されつつある。この改良型には眼の部分に黒のジョーゼットが2枚垂れ下げてあって、内側から外は見えるが外から顔は見られない。買物などの時、外の一枚をはねあげると、かすかに顔が見えて神秘的効果がある。必要に応じて図のように2枚ともはねあげる実用性も備えていて、このデザインには人気がある。つつましくブルクワに隠れ、訪問先でぱっと脱ぎ捨てて下の美服を見せる社交婦人も依然として多い。やがて神秘のベールを脱ぎ捨てるまでの過程を示すものとして興味深い。