田中千代・民俗衣装・コレクション

パナマ (Panama)
サン・ブラス群島 (San Blas Islands)



(1940年収集)

[衣服の構成]
ブラウス
スカート
頭被い布

 パナマ共和国のパナマ運河地帯から、コロンビア国境に至るカリビア海側の海岸地区をサン・ブラス洲 (San Blas) と呼ぶが、これはその沿岸に無数に並ぶサン・ブラス群島 (又はムラタ群島) に住む原住民キューナ族 (Cuna Indians サン・ブラス・インディアンとも言う) の女性の服装である。スカートは、朱色に青と小豆色のプリント模様の薄手木綿で、丈75cm、巾125cm、胴回りにゴムを通して縮めたギャザー・スカートである。しかしこの様式は改良型であって、元はインドネシアの腰布のような一枚布であった。上衣は丈65cm、巾67cm、肩が輪で直線裁ち、ヨークの切替があり、ボート・ネックの衿刳りは中央で少しギャザーされ、1cm巾の立衿がつく。
 袖は丈、巾ともに16cm、袖山で少しギャザーを寄せる。襠 (マチ) が別に付いているように見えるが、袖に続けた一枚裁ちである。ヨークと袖は白の綿繻子のプリント地で、切替線と両肩に藍色の木綿でアップリケがしてある。
 身頃はモラと呼ばれる逆アップリケ (Reverse applique) の施された布で作られている。これは色違いの木綿の布を重ね、下の色を段階的に出しながら切抜いて模様を作り、周囲はたてまつりで縫いとめて行く技法である。キューナ族は「綾取り」 (糸遊び) をキトトエット (Kitotoet) と称し、数十種の型を巧に使って楽しむが、この空間に描かれる魚、鳥、蜘蛛、亀のような自然物や、壺、魚網、などの写実から偶然現れる幾何学的なものなどを服飾の図柄に持ち込んでいるようである。この民族はインディオの中でも特に東南アジアの民族に似た服飾の習性を持っている。


ブラウス スカート 頭被い布



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パナマ (Panama)



(1940年収集)

[衣装名]
モンテゥーノ (Montuno)

[衣服の構成]
上衣
ズボン
帽子 (ソンブレロ)

 これは男の盛装モンテゥーノ (montuno) である。上衣とズボンから成り、上衣は未晒しの厚地の平織木綿で作られ、前は20cmの明きで、糸ループとボタンで留める。シャツ・カラーが付き、衿、胸、肩ヨーク、袖の巾広いカフスに色糸でクロス・ステッチの刺繍が施されている。服巾、着丈とも70cmで、裾は布端を房のようにほぐしてある。
 ズボンは上衣と共布で作られ、裾巾が31cmもある少し短めの巾の広い仕立てで、裾をクロス・ステッチで飾り、これも裾端は房のように布をほぐしてある。
 帽子は柔らかい繊維を細かく編んだソンブレロである。


パナマ (Panama)



(1940年収集)

[衣装名]
ポエラ (pollera)

[衣服の構成]
ブラウス
 (カミサ camisa)
スカート
 (ポエラ pollera)

 パナマのポエラは男性のモンテゥーノ (montuno) と一対をなすパナマ自慢の民俗衣装で、ブラウス (カミサ)、スカート (ポエラ) からなる。これは白の薄手木綿に、紫のアップリケが施されたもので、手編みのレースが配されている。ブラウスは、服巾が70cmもある緩やかなもので、衿明きの広い、いわゆるオフ・ショルダー・ネックラインの衿刳りに沿って、縁に手編みレースを付けた15cm巾ほどのフリルを二段に付け、袖口にも同じフリルが付けられている。衿刳りにつけた白と紫の手編みレースには黄色の毛糸の6本どりが通され、前後中央に大きな毛糸の玉房が付けられている。カミサを肩からできるだけずり落ちるように着るのがあで姿である。スカートは胴に細かいソフト・タックをとり、丈90cm、裾巾260cmもある大きなもので、丈の中間で手編みレースをはめ込んで切替られており、裾には10cm巾の手編みレースが付けられている。この服装には必ず髪に生花を飾る。二月中旬に町々で行われるカーニヴァルは4日にわたり盛況を極めるが、この時にはこの衣装が町にあふれ、またタンポリト (tamborito) という民族舞踊が踊られる。パナマのカーニヴァルは有名で、ホテル・エル・パナマをはじめ、大ホテルでの舞踏会などには、金や真珠のアクセサリーをちりばめた豪華なポエラが見られる。アップリケの色は他に赤、緑などもある。