田中千代・民俗衣装・コレクション

ブラジル (Brazil)
バイーア (Bahia)


(1956年収集)

[衣装の構成]
ワンピース
スカート
 (サヤ saia)
ショール
 (パノ・ダ・コスタ pano da costa)

頭巾
 (トスー torso)

(括弧内ポルトガル語)

 これはブラジル東北部 (ノルデステ Nordeste) のバイーア洲 (Bahia) の首都サルヴァドル (Salvador 古くはBahiaと呼ばれた) の黒人系ブラジル人の女、即ちバイアナ (Bahiana) の盛装である。バイアナには黒人と欧州人との混血-ムラタ (Mulata 女) と言って、体格はほっそりして、背が高く、色浅黒い美人が多いので有名である。この服はワンピース、オーバースカート、ショール、頭巾、ネックレスの組合せである。踝丈のワンピースは白木綿地で作られ、オフ・ショルダー・ネックラインに刳られ、上部は全体に美しいカットワークが施されている。ウエストの位置には7cm巾の手編みレースがはめ込まれている。このワンピースの上部、即ちブラウスに当たる部分はポルトガル語でカミザ・デ・クリオーラ (camija de crioura) と呼ばれる。Camija はスペイン語のcamisa で、crioulaはポルトガル語で黒人の女の意である。ワンピースの下部、即ちスカートに当たる部分はポルトガル語でアナグワ (anagua) と呼ぶ。
 このアナグワの上に着るオーバー・スカートをポルトガル語でサヤ (saja スペイン語の saya に相当する) と呼ぶ。これはプリント柄のベンベルグ製のタック・スカートである。
 頭巾はトスー (torso) と呼ばれ、96cm×90cmの白朱子の布の三方の端に絹レースの飾りが縫付けられている。
 ショールはパノ・ダ・コスタ又はフイッチュ (fichu 小型のスカーフの場合) と呼ばれる。パノは200cm×92cmの張りのある絹地で、赤、白、黄、紺の格子縞である。最も特色のあるのは長いネックレスで、多色のビーズと貝殻などを糸に通したもので、長さ1mあまりのものを15本掛けている。この他腕輪や耳飾りを用いる。バイアナの服はブラジル唯一の美しい民族服である。


ワンピース スカート (サヤ) ショール (パノ・ダ・コスタ)
頭巾 (トスー) ネックレス ネックレス


ブラジル (Brazil)

(1956年収集)

[衣装の構成]
ブラウス
スカート
サッシュ・ベルト
ネッカチーフ

 これは南ブラジルのコーヒー園などで働くヨーロッパ系 (イタリア人など) の耕作労働者 (コロノ colono) の女性の晴着である。19世紀半ば以後、ヨーロッパから渡来した新移民が、ヨーロッパで一般的な農民の服型を伝えたのが起源と思われる。今では ( 1956年) :原住民にも農民の服装として着られている。
 この衣装は、ブラウスにスカート、サッシュベルトにネッカチーフの組合せで、白木綿ゴースで作られたブラウスは、たっぷりのギャザーが寄せられ、角型の衿刳りに付けられたレースに通したリボンは寸法を調節して結ぶ。袖口も同様にリボンが結ばれている。
 スカートはプリント模様の木綿製で、直線裁ちのペザント・スカートである。裾に巾広のフリルが二段に付き、裾巾は175cm、裾回りにすれば350cmもあり、丈の長いものである。ウエストに締めたサッシュ・ベルトはネッカチーフと共布で、縞柄の木綿である。
 コーヒー地帯では砂ぼこりがひどいので、それを防ぐためと、飾りをかねてネッカチーフが着用される。


ブラウス スカート ペティコート
サッシュ・ベルト ネッカチーフ


ブラジル (Brazil)

(1940年収集)

[衣装名]
 マット・グラッソ

 これは、ブラジル奥地に住むカラジャ族の儀式に用いる衣装。頭からすっぽり被る一風変わった衣装で、目の部分に僅かな開きが作られている。カラジャ族は伝統的な慣習と宗教儀礼を維持しており、儀式の多くは死者の霊をたいへん恐れ、危険な亡霊を追い払う為のもの。踊りは満月の光の下で叙事詩や恋いの手柄が演じられる。
 これは樹皮で作られた衣装で。樹木は重要な意味があり、その力と偉大さが霊の力で乗り移る事を願う。
カラジャ族の装身具 (武器含む) へ