田中千代・民俗衣装・コレクション

オーストリア (Austria)
ティロール地方 (Tirol)



1960年収集

[衣装の構成]
ジャケット
 (ヤンカー janker)
ズボン
 (レダーホーゼ lederhose)
シャツ
ネクタイ
帽子
 (チィロール・ハット tiroler hut)

 ティロール地方(Tirol)は東アルプスにあって、オーストリアで最も標高の高い地方である。そこに山民の素朴さと、ウィーンのよいセンスとを兼ね備えたかと思われるティロール風俗がある。これはタンネの森の濃い緑をうつしたような深い緑色の、ローデンと呼ばれる毛織の生地で作られた上着(ヤンカー)に銀色の金属のボタンを付けている。ズホンはレダーホーゼと呼ばれる革のズボンで、前は水兵のズボンのような仕立てになっており、胸当て付きのズボン吊りで肩から吊る。
 帽子は男のオシャレのポイントで、黒フェルト製のこの帽子はつばが狭く、鳥の羽根を小粋にリボンに立てて飾っている。いわゆるティロール・ハットとして世界に知られているものである。
 羽根のほか、カモシカの髯の小束を飾る事もある。

ジャケット (ヤンカー) ズボン (レダーホーゼ) ネクタイ

オーストリア (Austria)
ティロール地方 (Tirol)



(1960年収集)

[衣装の構成]
ブラウス
 (ブルゼ bluse)
ジャンパースカート
 (ディルンドル dirndl.)
エプロン
 (シュルツェ schürze)
ネッカチーフ

 これは代表的なティロールの若い娘の服で、ディルンドルと呼ばれる。ぴったりとしまった上身頃、胴で引き締めた豊かなスカートのジャンパースカート(ディルンドル)、その上からエプロンをして紐を長く後に垂らす。白い木綿のブラウスの袖は可愛らしいパフ・スリーブである。ネッカチーフで髪を蔽っている。ディルンドルは健康な少女の服として全国的に広く着られ、大都市にもその専門店がある。
 田中薫が1929-30年に2回ティロールを訪れた時は、キッツビューエル Kitzbühel)の町あたり、日曜日にはティロールの民俗衣装で町が埋まり、オーベル・ピンツガウ(Ober Pinzgau)の谷などでは牧場の花に埋まった美しい娘の晴着を見たものである。
 1960年夏、薫、千代の二人で再びここを訪れてみると、土地の者はもうあまり着なくなったが、店の売り子やホテルの給仕娘がディルンドルを着ているのと、都会からの避暑客が好んでティロール風をしているのとで却って昔よりティロール気分が濃く感じられた。これは民族衣服が観光産業に貢献している好例である。   (田中薫、千代共著 「原色世界衣服大図鑑」より)


ジャンパースカート
(ディルンドル)
ブラウス (ブルゼ) エプロン (シュルツェ)
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