田中千代・民俗衣装・コレクション

ベトナム (Viet Nam)



1962年、当時のアオザイ姿

(1962年収集)

[衣服の構成]
ズボン
 (クワン quan)
ドレス
 (アオ・ザイ)

 (ノン・ラ nonla)


 ベトナムの衣服は、中国服の影響を強く受けているが、南方の気候 (熱帯季節風) に適するように発展したものである。とくに女性の伝統的民俗衣装のアオ・ザイは優雅さにおいて有名である。アオは"きもの"、ザイは"長い"の意味で、元来アオ・ザイは上衣のみをさす。したがつてアオ・ザイとクワン (ズボン) を組合わせた場合は、クワン・アオという。クワンは巾の広い、ゆったりとしたパジャマ型ズボンで通気性を持たせてある。前後差が全くなく、脇が輪になった2本の筒を股上で縫い合わせた形である。身体にあわせるために何本もダーツをとっているが、それがウエストを細く見せるのである。アオ・ザイと組んで着ると身体がスマートにすらりとして見える。この標本は、黒のサテン製でる。
 牡丹色ナイロンのアオ・ザイはチャイニーズ・カラーからアンバランスな打合せが右脇に続き、ウエストまでスナップ留めになっている。左脇はウエストまで縫い合わせた細身のドレスで、身体にぴつたりと沿わせてある。両脇ともウエストから下はクエ・ハオ (que hao) という深いスリットになっている。アオ・ザイの下には衿なし、腰丈で両脇にスリットの入った下着をつける。この下着には必ずポケットが前に二つ付いている。頭に被っているのは、ノン・ラと呼ばれる笠で、ベトナムの女性がアオ・ザイなどを着て外出する時に用いる。
 1962年に田中千代がベトナムを訪れた時、サイゴン市内では殆どの女性がこのアオ・ザイ姿で行き交い、その優雅な姿は昔の安南の風情を思わせるものであつた。
 (衣装の現地名で、インターネットで表示出来ない字は、省き、カタカナのみを書きこんである)




ベトナム (Viet Nam)



(1962年収集)

[衣服の構成]
ズボン
 (ドーボー Dobo)
上衣
 (アオ・ババ Ao baba)



 これは地方の女性労働者の働き着である。丈の長い中国風上着アオ・ババ (Ao baba) と、ドーボー (dobo) と呼ばれるズボンからなる。ドーボーは股上刳りのない平面的な仕立で、裾巾が広く、丈は短めである。
 アオ・ババは前明き、ボタン留め、細いバンドカラー、、腰丈位で両脇にスリットがある。
 この標本は、濃い茶色の手織木綿のアオ・ババと、黒麻のドーボー姿である。各種のつばの広い帽子をかぶって働く。