田中千代・民俗衣装・コレクション

タイ (Thailand)



(1960年収集)

[衣装の構成]
下衣
 (パーヌン Phá-nung)
上衣
 (サ・バイ Sa-bai)
ベルト


 これはタイの女性のフォーマルな装いである。材質はシルクで、サ・バイの片端とパーシンの裾に金糸を織込んだ柄 (巾24cm) がある。タイの衣装を見ると、横縞の柄が多い事に気づく。タイではこの横縞柄の事をパー・シンと呼んで好んで用い、この柄の入った下衣のことも、そのままパー・シンと呼んでいるようである。
 パー・ヌンは下衣を総称する言葉として使われている。パー (Phá) は布、ヌン (nung) ははくという意味である。標本のパー・ヌンの大きさは、輪の状態で巾73cm、丈97cmあり、一本の縫い目で筒型にしてある。
 サ・バイは、主に夜のフォーマルな場に着用する上衣で、長さは用途に応じて異なり、中にはトレーンのように長い豪華なものもある。写真のサ・バイは巾96cmを畳んで28cmにし、丈163cmの帯状で、着方は右脇から胸を覆いながら一巻きし、余りを左肩の後に垂らしている。この時、左肩でタックをとってブローチで留めてもよい。


筒型下衣 (パーヌン) 上衣 (サ・バイ) ベルト




タイ (Thailand)



[衣装の構成]
下衣
 (パーヌン Phá-nung)
上衣
 (スアー Sya ブラウとも呼ばれる)


 これは昼間の正装用服装で、現代風に仕立てられたパー・ヌンとスアーの組合せである。パー・ヌンはタイシルクの横縞柄の布パー・シン (Phà sin) が使われている。このように横縞柄の入った下衣の事をパー・シンと呼ぶ事もある。スアーもシルク製である。






タイ (Thailand)



(1938年収集)

[衣装の構成]
ブラウス
 (スアー Sya)
腰布
 (パー・チュンガベン Phá chungkaben)


 これはパー・チュンガベン、略してチュンガベンと呼ばれるズボン式腰布と、スアーの組合せである。昔は老若男女を問わず着ていたが、1941年、ピプン・ソンクラーム首相は近代化の一環として、国際的でない美的でないなどの理由から、この姿を禁止した。その結果、現在では田舎の老人や、踊りの衣装に残っている程度である。 (1961年)
 パー・チュンガベンの素材は、通風性に富み、洗濯のきく木綿が殆どで、絹や更紗は上等なものになる。柄は格子や縞の織柄が一般的だが、パライ (Palai) と呼ばれるタイ独特の柄も多く用いられる。色は焦げ茶、海老茶、藍色と天然染料によるものが多い。昔は曜日によって服の色を代えた事もあり、また富の程度を表す事もあったと書かれた文献もある。この標本は、柿色地に黒や赤の小花模様をプリントした平織の木綿の布である。スアーは絹の平織。




タイ (Thailand)
カレン族 (Karen)




[衣装の構成]

上衣 (チッスー)
下衣


 これはタイの山岳民族の一つ、カレン族の既婚女性が着用する衣装である。この上衣は114cm×29cmの黒地木綿2枚を、衿明き分34cm、袖口分38cmを残して縫い合せたものである。裾には鮮やかなピンクや紺の毛糸、オレンジや赤の綿糸で数段の刺繍が施され、さらにそのステッチの間に、白色の種が縫いとめられている。又、前後、両脇の接ぎ目にはステッチに用いた糸端が房飾りのように飛出している。胴部に配置された白い種と種の間は、赤色の綿糸を使って花形がサテン・ステッチで埋められている。
 装飾に使われている白色の種は英語でジョブス・ティアーズ (Job's-tears 仕事の涙) と呼ばれる山岳地方の天然資源の一つで、食用にする種類もある。装飾に使った場合、幾世代か前までは地位を象徴する重要なものであったが、今日では既婚女性であれば身分を問わず身に付けられる。
 カレン族は、未婚女性と既婚女性の区別を服装で示すタイでも珍しい風習を持つ部族である。たとえば、未婚女性は踝丈のポンチョ (脇は縫われている) を用い、既婚女性は腰丈の上衣と巻きスカートを着用する。

上衣 巻スカート



タイ (Thailand)
アカ族 (Akha)




[衣装の構成]

上衣 (ベーコン)
スカート
ベルト
帽子
ネックレス
キャハン


 これは、タイ北方の山岳地帯に住む、高地民族アカ族の服装。手作りが上手て、時間にあかして自分で作った晴着のように見える姿で生活している。ボタン、貝、硬貨が大変好きで、布を細かく接いだり、刺繍するのが巧である。


上の衣装とは異なるセットである

上衣 (ベーコン) 前 ベーコン 後 ネックレス
脚絆 ベルト 帽子
   

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