田中千代・民俗衣装・コレクション

台湾 (Taiwan)


(1938年収集)

[衣装の構成]
上衣
スカート
頭布 (纏頭)


 これは台湾南部の蛮地に住むパイワン族の女性の盛装で、中国服の影響を強く受けた中長の上衣とスカートと頭巾 (纏頭) から成る。
 上衣は黒ビロードで中国風に右脇で合せ、ループと釦で留め、2.5cm巾のチャイニーズ・カラーが付き、色ビーズの刺繍で飾られているが、図柄の人間模様が特色である。スカートは平織木綿で、裾回り2mの筒型のギャザー・スカートである。
 纏頭は上衣と共布で、長さ1.55mの管状に作られ、中に綿が詰めてある。これを頭髪にからませて巻きつけ、両端の毛糸の房飾りが左右にでるように美しく飾る。気候が暖かいので足は露出し裸足で歩く。

パイワン族女性の上衣 パイワン族 スカート 頭巾 (纏頭)



台湾 (Taiwan)


(1938年収集)

パイワン族男性の衣装

[衣装の構成]

上衣
腰布
頭飾り


 これは、女子をモデルとしたが、実は男性の服装である。上衣は黒木綿地にビーズを肋骨型に飾った長袖の短上衣で、コード状の毛糸ループで前中央でボタン留めされている。脇に4cmのスリットが入り、裏に晒木綿の裏打ちがされている。身頃裾のビーズ刺繍は独特の人間模様。
 腰布は藍染めの木綿で、丈48cmのごく短いエプロン状の前垂れで、裾巾180cmもの広いものが、胴回りの三箇所で5cm巾のシャーリングでしぼられ、巾広のベルトをつけ、くびれるほどきつく腰部 (下腹部) に締め付けて着る。このくびれを細く見せるのが男性の誇りで、力の湧源と信じられている。盛装として頭に生花の花輪を飾るのを好む。パイワン族は男女とも解放的な明るい性格を持つが、それが色彩豊かな服飾にも現れている。
 図案に人間と毒蛇 (百歩蛇と俗称される猛毒の蛇) の頭が好んで用いられるが、木彫りの飾り物としても、同じモチーフが尊重されている。収集者田中薫は主としてライ社、クナナウ社で調査した。

パイワン族男の上衣 腰布



台湾 (Taiwan)


(1938年収集)

[衣装の構成]
上衣
下衣
外衣 (テイユー)
脚絆 (ツラヒス)



 これはタイヤル族女性の盛装で、上衣は苧痲の地に、黒、赤、紺の美しい色毛糸で、縞柄を浮織りにしたもので白の陶製ボタンを飾る。
 身頃は巾23cm、丈90cmの2枚の布を丈で二つ折りにしてその折目を肩線にし、後中央で背縫いして接合する。前裾端に巾2cm、長さ8cmのテープ (手織り) を付け、その先端を毛糸の房で飾る。袖は巾16cmの筒袖。
 その上に着ている外衣は「テイュー」 (又は「テジュー」、「トウユウ」とも言う) と呼ばれる僧侶の袈裟に似たもので、麻地に色糸の横縞が織込まれている。細巾の布を接ぎ合せたもので、巾97cm、上端1m、下端1.17mの梯形の一枚布である。上端の両端に共布で巾2cm、長さ10cmの紐が付く。これはインドネシアのスレンダンと同様に、、風呂敷代わりにも使われるが、敷布ともなり、寒い時は立膝をしてしゃがみ、その前を膝掛けのように蔽うなど、山地民としての用途がひろい。「テイユー」は男も山行きに欠かせないものである。脚絆は女性専用のもので「ツラヒス」と呼ばれ、平織麻地に鮮麗な毛糸の浮織が施されている。縦29cm、横36cmのもので巾1.5cm、長さ75cmの房付きの紐で上脚部に結び,裸足で出歩く。
上衣 脚絆

 この標本には無いが、頭には獣骨を象牙のように磨いた板状の小片をつないだ環飾りを鉢巻のように戴く。髪は本来、長髪のお下げであるが、日本領有時代の末期には、衛生上の見地から、おかっぱを奨励したのがよく普及していた。


タイヤル族女性のテイュー 上衣 きゃはん




台湾 (Taiwan)


(1938年収集)

[衣装名] ルックス
 (タイヤル族頭目の盛装)

蕃刀 (ラーラオ)
鞘と柄に百歩蛇と人像、人首の彫刻


 丈2m、巾25cmの2枚の帯状の布を丈で二つ折りにし、後中央に当たる部分のみ接ぎ合せ、前中央突合せにし、両脇は、袖口分を残して裾まで縫って仕立ててある。
 布地は生成りの苧麻の平織地に真赤な裂き糸の浮織り。袖刳りの回り、前端、裾回りに茶色の麻糸で編んだ巾1cmほどのテープで縁取りしてある。赤い縞模様の間には白い貝殻をビーズのように麻糸で通した「シクン (珠裙)」 と呼ぶ飾り紐をたくさん付けてあるので、非常に重い衣装である。「シクン」は貨幣の単位として用いられるので、この衣装は大きな財産を意味する。黒い麻布を腰衣とし、素肌にこの豪華な「ルックス」を着、丹念に木彫を施した蛮刀「ラーラオ」を手にしたのが、男性の勇姿とされる。
 タイヤルの男性が愛好する赤は、当時日本内地から伝わった赤毛布をほどいたものと言われる。




台湾 (Taiwan)


(1934年収集)

[衣装名] ルックス
 (タイヤル族頭目の盛装)

白麻地 (苧麻、平織) に赤麻糸が立体的に織りこまれている (浮織)
貝珠付




台湾 (Taiwan)


(1934年収集)

「タイヤル族男の正装」


 丈164cm、巾30cmの2枚の帯状の布を、背中央の部分のみ縫い合わせ、丈を二つ折りにして、折目を肩線にし、袖付位置を残して脇を縫い、長さ38cm、巾15cmの筒袖を付ける。布地は苧麻の手織りで、横縞柄は、真赤な毛糸の所々に黒の木綿糸を交えた浮織。生成り色のスペースが充分あり、それに緋色の大きな面の配置と、黒糸の線とで、素晴らしい配色構成を見せている。



台湾 (Taiwan)


(1934年収集)

タイヤル族出草のいでたち

上衣


 (ララオ又はハーブックと呼ばれる)


 これはタイヤル族の男性が、出草 (首狩り) に出る時の正装である。
 短い上衣は苧麻の手織りで、巾23cm、丈94cmの2枚の帯状の布を縫い合せた単純な構造のものである。一面に赤の麻糸が浮織りで立体的に織込まれているが、前面左右に縦一本づつ白い麻地が1.5cmの棒縞に残されているのが素晴らしいデザイン効果を上げている。袖口や裾に一列に縁取られた「シクン」の飾りも、この硬い緻密な麻織を引き立てている。
 下体には「ララオ」又は「ハーブック」と呼ばれる褌 (フンドシ) が用いられる。褌は丈230cm、巾45cmの黒の平織木綿で、両端に赤と緑の紐で編んだテープが縫付けてある。これを腰に巻いて前で結び、両端を前に垂らして陰部を蔽うのである。
 この他、タイヤル族の男は籐で手作りした「カブフ」という帽子を被ることが多く、山行き、又は狩猟には蕃刀 (ラーラオ) のほかに「タウカン」と呼ぶ麻紐編みの軽量な背負い袋 (リュックサック) に身のまわり品や食料を入れて背に付け、煙草が好きで、「ポーカン」と称する手製で、人の顔の凝った木彫を施したパイプをくわえて裸足で歩く。「トーヤッハ」という黒木綿の金時の用いるような胸当てをすることもある。高冷地に行くときは必ず「テイユー」を肩にかけ、休む時はしゃがんで風の吹いてくる向きに「テイユー」を広げて全身を包む。又「パラ」と呼ぶ麻製の大風呂敷を持っている事もあって、就寝時の敷布、掛布、子守用、ハンモック用など広い用途に活用する。

出草のいでたちの上衣 褌 (ララオ)


台湾 (Taiwan)


(1934年収集)

「衣装名」 ルックス


 これはルックスと呼ばれる男子服である。
上半の白い縦縞が極めて効果的である。この峻烈な感を与える白い二本縞の衣装が、タイヤル族の男が出草 (首狩) に向かう時の正装である事を知れば、一層デザイン的興味が深い。こりは素肌の上に着られる。
 下体には「ララオ」又は「ハーブック」と呼ばれる褌 (ふんどし) が用いられる。時には、「ルックス」の下に「トーヤッハ」という黒木綿の胸当てをする事もある。手に持っているのは蕃刀「ラーラオ」である。


台湾 (Taiwan)


(1934年収集)

「本島人の古い中国服

[衣装の構成]
上衣
 (ニュイアオ 女襖) 又は (ニュイサン 女衫) と呼ぶ

スカート
 (チュンツ 裙子)


 これは中国大陸の古い服型が、比較的近年まで着られた例であつて、約100年ほど前のものである。 (1961年記) 。
 この衣装は襦子 (しゅす) 地に刺繍を施した豪華な衣装である。台湾の蕃地以外はすべて漢民族の居住するところであるが、彼らはその出身地によってビン族 (福建人) と奥族 (エツ族 広東人) に大別され、長く固有の風俗を保有し続けている。
 中華民国政権がここに移ってからは、大陸北・中部の漢民族が転入したので、大都市ではその影響が著しいと思われるが、いずれにしても現在の台湾は(1961年) 香港とともに中国の旧風を保有する重要な母体である。


   上衣 (iニュイアオ) スカート (チュンツ)



台湾 (Taiwan)


(1928年収集)
当時より100年位前の衣装

「本島人の古い中国服

長衣
[衣装名]
 (ツンサア 長衫) 

身丈 110cm
裄 55cm



台湾 (Taiwan)


(1928年収集)
当時より100年位前の衣装
「本島人の古い中国服

綿入れの長衣
[衣装名

(ツンパウ 長袍)

絹、紋織

身丈 1o1cm
裄 52cm
裾巾 52cm



台湾 (Taiwan)


(1928年収集)
当時より100年位前の衣装
「本島人の古い中国服

女性の礼装用上衣
[衣装名

(ニュイコア 女褂)

絹、紋朱子織


台湾 (Taiwan)


(1928年収集)
大正5〜6年頃の衣装

女性の礼装用上衣
[衣装名

(ニュイコア 女褂)

絹、綾織と朱子織
刺繍、絹リボン、アップリケ付
身丈 79cm
裄 77.5cm



台湾 (Taiwan)


(1928年収集)
当時より100年位前の衣装
「本島人の古い中国服

女性の礼装用上衣
[衣装名

(ニュイコア 女褂)

絹、紋朱子織、刺繍付

身丈 105cm
裄 66.5cm
袖巾 26cm



台湾 (Taiwan)


(1924収集)
大正13〜14年頃の衣装

女性用常服の上衣
[衣装名

(サア 衫)

木綿、紋織、袷仕立


台湾 (Taiwan)


(1928年収集)
当時より100年位前の衣装
「本島人の古い中国服

[衣装名]
サアコオ

長衣
 (ツンサア 長衫) 
ズボン
(コオ 「衣偏」に庫)
木綿


台湾 (Taiwan)


(1928年収集)

男児の袖なし上着
2着
[衣装名]
(カアアア kah a) 

絹、紋織り
リボンと縁布 (朱子織)のアップリケ


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