田中千代・民俗衣装・コレクション

インドネシア (Indonesia)



(1938年収集)

[衣装の構成]
上衣
 (バジュ Badju)
下衣
 (カインパンジャン Kain   pandjang)

肩掛け布
 (スレンダン Selendang)

 (スタゲン Stagen)
ブローチ
 (パネテイ)


 これはインドネシア女性の盛装である。インドネシア語で、カインは"布""腰布"、パンジャンは"長い"という意味で、カイン・パンジャンは長い腰布をさし、バティックを施した木綿の一枚布で、腰に巻いて着用する。着用の際は、襞が折目正しく整然と畳まれていなければならない。日本の"折目正しい"という言葉を思い起こさせる格式のある衣装である。
 このカイン・パンジャンはチャンチンによる手描きのバティックで、柄はパラン (刀模様) と呼ばれる伝統的なものである。バジュはレース製、パテネイというブローチで留められている。スレンダンも繊細なレース製である。



(1938年) インドネシアにて
左、田中千代 
手描きバティックの製作 チャンチンによる蝋置き




インドネシア (Indonesia)



(1938年収集)

[衣装の構成]
上衣
 (バジュ Badju)
下衣
 (サロン Sarung)

肩掛け布
 (スレンダン Selendang)

 (スタゲン Stagen)
ブラジャー (コタン Kotan)


 この衣装はインドネシアの主島であるジャワ島の女性の平常着である。
 サロンはインドネシア語で"筒""鞘"の意味で、108cm×210cmの一枚布を輪にしたもの。このサロンは白綿布にチャンチンによる蝋防染で藍染をしたカイン・クレガンと呼ばれる手描きバティック (ジャワ更紗) である。柄のモチーフは、花束 (バダンの部分) と海の生物 (カパラの部分) である。白地に藍という配色はバティックの初期からあったものである。一般的にサロンは布巾1m前後×1.5〜4m位の布の両端を縫い合せて輪にした物で、インドネシアでは主にバティックが使用される。
 サロンはカパラ (Kapala、顔、頭) 、バダン (Badan 身体、胴体) の二つの異なった柄で構成され、一枚の布をあたかも人体のように扱っているのである。着方は色々あるようだが、この標本のような着方が男女とも一般的とされている。
 カバヤは藍染めの縞柄手織り木綿。
 スレンダンもチャンチンによる手描きのバティックである。
 インドネシアは高温多湿の国なので毎日マンデー (mandi 水浴) を必要とした。そのマンデーのたびに、腰布は水をくぐり天日に干されるので、上等な綿布と堅牢な染が要求され、蝋を防染剤とする蝋纈染めの技術が発達したわけである

上衣 (バジュ) 下衣 (サロン) 肩掛け (スレンダン)
ブラジャー (コタン) 帯 (スタゲン)


(1938年)
インドネシアの歴史博物館で民俗衣装の勉強中、藤山愛一郎氏と偶然出会い記念撮影

右から二人目 藤山氏


インドネシア (Indonesia)

スラウエシ (Surawesi)

(1938年収集)

[衣装の構成]

ワンピース
 (バジュボネ Badju bone)

 これは、バジュ・ボネと呼ばれるブギス族 (Boegis) 女性の衣装である。
赤の綿寒冷紗を二枚重ねにし、肩を輪に、巾、約 1m、丈、約 1.4m、袖口分 12cmを残して、脇を裾まで直線に縫っただけの貫頭衣である。衿ぐりの深さは肩から20cmのV型に切込んである。人類の衣服の工夫の中で最も単純な基本形として、貫頭衣の分布は広いが、南米アンデス諸国に見られるポンチョがその代表的なものとされている。このブギス族の貫頭衣はポンチョのモンスーン気候型ともいえて興味深い。
 スラウエシ (セレベス) には、南部マカッサル (Makassar) を中心に航海術にたけたブギス族 (Boegis) が住み、その北方、島の中央部にトラジャ族 (Toradja) という未開原住民が住んでいる。ブギス族の女性の服には、この貫頭衣のほか、サロンがあり、独特の着方が行われている。そのサロンは牡丹色、真紅、紫、緑など派手な格子縞の木綿地の寛やかなもので、ジャワのサロンと同様に腰に巻くが、寒い時や、他人の前に出る時に頭にかざすように用いる。


インドネシア (Indonesia)
スマトラ島 (Sumatra)


(1962年収集)

[衣装の構成]

上衣 (バジュ baju)
腰布 (カイン・ソンケット)
儀式用肩掛け (テンクルク)

肩掛けも腰布と同じくソンケット(絹地に金銀糸を織込んだブロケード)の布である。


インドネシア (Indonesia)

カリマンタン島 (ボルネオ)

(1938年収集)

樹皮布の衣装

上衣と樹皮布

 樹皮布は植物繊維から作る織らない布で、熱帯、亜熱帯のものである。樹皮を剥ぎ、木槌で叩き伸ばして柔軟にし、水に晒して作る。織物作りの伝わらなかった時代、中南米、インドネシア、太平洋諸島で作られ、衣服にも用いられた。
インドネシアの染織へ