田中千代・民俗衣装・コレクション

インド (India)



[衣装の構成]

ペティコート
上衣
 (チョリ choli)
巻衣
 (サリー sari)


 サリーはインドの女性の伝統的、代表的な衣装で、数多い民俗衣装の中で最も優雅な美しさを持つものである。巾90cmから120cm、長さ4.5〜11mの全くの一枚布である。サリーは気候、環境、習慣と深く関わりあい、身分、地方別などの象徴となる。サリーの布地は、木綿、絹、化繊など。染織も、紋織り、ブロッケード、オーガンディー、ジョーゼット、絣、絞りなど、色々の技法が用いられる。上等のものは金銀の刺繍、縁飾りが施される。
 純白で縁飾りも何も無いサリーは未亡人を意味し、また葬儀には白いサリーを着る。布端の巻き方も色々あり、普通は左肩に垂らしているが、祈りの時や外出時には頭に被ったり、既婚の女性が目上の人と会う時や、お寺などでは布端をショールのように右肩にまわし、チョリーを隠して着るなどの風習がある。また、仕事時には肩に垂らした布を後右脇下から前にまわし、左脇に挟み込んだりする。南インド、西海岸地方では、12mほどの長いサリーを用いたカッチャ式という着方が見られる。これは腰にまいた布の端をドーティーのように股下から後にまわして背中でたくし込むもので、環境に応じた生活の知恵を感じる。ドーティとサリーのルーツは同じであるといわれているのも、この着方を見るとうなずける。




インド (India)



(1960年収集)

[衣装の構成]

ブラウス
 (チョリ choli)
スカート
 (ガーグラ ghagra)
ショール
 (オードニ odhni)


 この組合せは、西パキスタンのシンド州(Sindi)からインド北西部のカシュミール(Kashmir)にかけて着られ、また南西部のラジャッサン州(Rajasthan)、ボンベイ州(Bombay)などに広く着られ、サリーについで重要な服装である。ここに取り上げたガーグラは紅のサテンで、裾回りに銀ラメを配した美しいもの。本来ガーグラは広く仕立てられた長めのスカートで、牡丹色に緑の裾まわしなどの配色が好まれる。白地に鏡刺繍のあるチョリを着ているが、これも本来半袖仕立てで、美しい色模様の絹のチョリが用いられる。その上からオードニをちょっと頭にかけてはおる。これは巾も丈もサリーよりずっと短いもので、オーガンディ製、紅に金糸で模様を織込んだものだが、好みでさまざまな派手な色の絹や木綿が用いられる。
 この他、装身具として用いられるイヤリング、ネックレス、小鼻に付ける飾り、指輪などはこの国での財産保有の重要な一形式となっている。額に見える紅点の化粧は、シンデゥル(sinder ボンベイ地方の呼び名) と呼ばれ、幸福のシンボルとされている。





インド (India)



(1960年収集)

[衣装の構成]

腰布
 (ドーティ dhoti)
上衣
 (クルタ kurta)

ドーティの後
前に残っている布を襞に畳み、布端を持ち上げて胴に回し、右図のように挟みこんで着る
ドーティの前
着付け仕上がり図


 ドーティははインドのヒンドゥ教の男性が着用する長い腰布である。白木綿の一枚布でボーダー柄の付くこともある。ドーティの着方は地方によって少し異なるが、股の間を通して着るカッチャ式や、サリーのように巻くだけの着方などがある。
 これはカッチャ式の着方で、上にはドーティと共布のクルタ (kurta 衿なし、前明き、腰丈くらいの長めでゆったりしたシャツ) を着ている。
 ボンベイで買い求めた本によると、ドーティの起源は4000年以上前の古代インダス文明の遺跡に見られ、当時既に身体にまとい、ドーティのような衣服を着た人々のいたことがわかる。



インド (India)



チュリダル

[衣装の構成]
上衣
 (クルタ kurta)
ズボン
 (チュリダル churidar)


 この脚にぴったりフィットしたズボン (チュリダル) はインド北部のパンジャブやウッタル・プラデュシュにみられ、ヒンドゥ教徒もイスラム教徒も着用するが、イスラム教徒はおもに女性が着用している。腰から膝までは、ゆとりがあるが、膝からくるぶしまでが急に細くなり、脚に環状の皺が生じるほどぴったりしている。チュリダルの長さが、足の長さよりかなり長いので、その分がしわになる。
 チュリダルは、踝をチュディス(Chudis)と言う事から、この呼び名が生じたとも言われる。クルタ (チュニック状のシャツ) やシャルワニ (Sherwãni) というコートと組合わせて着用する。このチュリダルもムガール帝国時代 (16〜19世紀) にペルシァ・スタイルのイスラム文化の影響を強く受けている。




インド (India)



(1960年収集)

[衣装の構成]
ブラウス
腰布


 これはアッサム(Assam)のナーガ族女性の衣装で、腰布とブラウス、笠の組合せである。
 腰布は黒地にオレンジとグリーンのモダンな配色の縞柄を織込んだ手織り木綿で、42cm×160cmの布を二枚接ぎ、丈84cm、長さ160cmの一枚布にする。接ぐ際、中央だけを縫い、両端20cmを縫い残す。この縫い残しが結ぶための大きな知恵となる。
 ブラウスは木綿のプリント地、丈が短く、衿なしでジグザグのネック・ラインになっている。
 この装いの特徴は笠で、首筋を日ざしや雨から守るため後に大きく広がる変った形を呈している。
 ナーガ族(Naga)は蒙古系で容貌が日本人にそっくりである。




インド (India)

シッキム (Sikkim)



(1960年収集)

[衣装の構成]
ブラウス
掛衣


 これはシッキムのレプチャ族 (Lepcha) 女性の衣装で、ブラウスとサリー風の掛衣と帯の組合せである。
 ブラウスは白の紋織りの人絹で、膝下まで長く、裾両脇に18cmのスリットが入る。着物風の衿でシャツ型の長袖が付く。帯は268cm×35cmの濃緑色のもの。
 衣装の主体をなすピンクの掛衣は360cm×160cmの長方形の人絹の一枚布である。
 シッキムはヒマラヤの王国であったが1975年にインドの22番目の州になった。先住民族は温和なレプチャ族だが、現在では全人口の一割強にすぎない。そのレプチャ族はモンゴル系のヒマラヤ先住民で、ブータンとシッキムの住民の重要な要素である。