田中千代・民俗衣装・コレクション

タンザニア (Tanzania)



(1940年収集)

[衣装名]
カンガ (kanga,khanga)

 東アフリカ、タンザニアのスワヒリ人の女性が着ているカンガは、装いの中で最も原始的と考えられる。
 このカンガは、赤地に白と黒の鮮やかな模様が入った一枚布である。中央の大きな白、黒、赤のワンポイント柄と、周囲の巾広いボーダー柄は、大胆な対象を見せている。カンガは、通常、同じ柄のものを2枚使って、色々な着方をする。
 スワヒリ人は赤と黒の配色を好むようで、黒光りする肌にふさわしく、強いコントラストを自然に美しく着こなしている。素材のごく薄手の木綿は、しなやかで、巻くのに適当な質感である。ダーツも紐も無いカンガは,ラップ式ドレスの原点とも言える。
 このカンガは、田中千代が1940年「報国丸」という船で世界一周旅行の途中、タンザニア(当時タンガニーカ)のダルエスサラーム(Dar es Salam)に寄航した時に手に入れたものである。アラビア語で"天国"を意味するダルエスサラームは、早くから貿易港として栄えていた。船の停泊時間を利用し、酋長と奴隷で構成されているという不思議な村で、酋長の家を訪ね、みやげ物を渡すと歓迎してくれた。女性達が着ているカンガが欲しいと言うことを、身振り手振りで表現した。やっとの思いで意思が通じ、まだぬくもりのさめやらぬカンガを手にし、この村を後にした。

(1940年) タンザニアに停泊中、民俗衣装収集に訪れた村にて 右端、田中千代